シンポジウム「演劇を待ちながら」

2024.9.24

七里圭監督新作映画『ピアニストを待ちながら』公開記念

シンポジウム「演劇を待ちながら」

+特別上映『清掃する女 亡霊』

シンポジウム登壇

萩原雄太(かもめマシーン)
西尾佳織(鳥公園)
宮崎玲奈(ムニ)
山本浩貴(いぬのせなか座)
鈴木一平(いぬのせなか座)
七里圭

タイムスケジュール

9/24(火)
17:40 開場
18:00 Aプログラム:『清掃する女 亡霊』上映
19:15 再開場
19:30 Bプログラム:シンポジウム「演劇を待ちながら」

料金

各プログラム 1,500円
両プログラム予約 2,000円
両プログラム当日 2,500円

9.24 18:00 A19:30 B

10月12日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラム他、全国順次公開される私の新作映画『ピアニストを待ちながら』。この作品は、演劇をめぐる映画である。
まずタイトルからしてベケットを想起させるが、ストーリーは真夜中の図書館から出られない人々がなぜか芝居の稽古をし続けるというもの。おまけに、舞台となる村上春樹ライブラリーは演劇博物館の隣にある。が、何よりもこの映画は、2020〜2021年ごろのコロナ禍を被った演劇の状況が、着想の一つになっているのだ。
というわけで、改めて、演劇にとってコロナ禍とは(それが現在進行形だとしても)何だったのか、現在に至る演劇の状況を考える、私にとってはそれを学ぶ機会を持ちたいと思う。劇団主宰や演出として実際に当事者であった、かもめマシーンの萩原雄太さん、鳥公園の西尾佳織さん、ムニの宮崎玲奈さんをゲストに迎え、この映画の原案や劇中戯曲で協力いただいた山本浩貴さん、鈴木一平さんとともにシンポジウム形式でお話を伺っていく。演劇人でもない私が催す会だが、ぜひこのテーマに関心のある方々に(あるいは物見遊山でも)お集まりいただきたい。
また、シンポジウム前には特別上映もする。それは、2019年に舞台で発表した作品を、映画として様々な改訂を施し、昨年完成形に至った『清掃する女 亡霊』である。この映画も、ある意味でコロナ禍が無ければ生まれなかった作品だからだ。
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七里圭

『ピアニストを待ちながら』作品情報:

2024年/日本/カラー/61分/ヨーロピアンビスタ/5.1ch /DCP
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10月12日(土)シアター・イメージフォーラム(東京)、11月2日(土)シネヌーヴォ(大阪)、11月16日(土)横浜シネマリン、11月29日(金)京都・出町座、他にて全国順次公開決定
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出演:井之脇海、木竜麻生、大友一生、澁谷麻美、斉藤陽一郎
監督・脚本:七里圭
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真夜中の図書館で目を覚ました瞬介は、なぜか外に出られぬまま、旧友の行人、貴織と再会する。いつまでも明けない夜、学生時代の演劇仲間だった3人は、かつて上演できなかった芝居の稽古を始める。それは行人が作演するはずだった「ピアニストを待ちながら」であったーーー。
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撮影:渡辺寿岳
照明:高橋哲也
録音:松野泉、黄永昌
音楽:宇波拓
編集:宮島竜治、山田佑介
助監督:鳥井雄人
ヘアメイク:永江三千子
スタイリスト:小笠原吉恵
スチール:本多晃子
劇中戯曲:鈴木一平
原案協力:山本浩貴
振付指導:神村恵
企画:土田環
ラインプロデューサー:佛木雅彦
プロデューサー:熊野雅恵
制作・配給:合同会社インディペンデントフィルム
©合同会社インディペンデントフィルム/早稲田大学国際文学館
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『ピアニストを待ちながら』公式HP
https://keishichiri.com/pianist/

『清掃する女 亡霊』作品情報:

『清掃する女 亡霊』(2023年/73分/HD)シングルスクリーン上映
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出演:安藤朋子、黒田育世
歌唱・音楽:さとうじゅんこ
監督・構成:七里圭
台本:新柵未成、七里圭
撮影:高橋哲也、村上拓也
CGエンジニア:早川翔人
整音:松野泉
音声リミックス:池田拓実
楽曲提供:檜垣智也
演奏:GO ARAI(バイオリン)、法貴彩子(ピアノ)
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髪も白くなり、ただいたずらに過ぎていく日々を重ねながら、今、思い出すことがある。あのとき、私は、一本のゆるやかな曲線を描いた——。白髪の清掃婦のもとに、若かりし頃の母が現れ、子を産まず孤独に生きる娘の人生を嘆く。しかし、老女は反論し、美しき亡霊と対峙する。
映像を用いる実験的な舞台として2019年に発表された作品のリ・クリエーション。複式夢幻能の形式を模して、超絶技巧の歌唱と身体表現が掛け合わされた公演は、複数カメラで捉えられた映像として再構成されるだけでなく、AIキャプチャーまで駆使して大胆に再解釈される。七里がコロナ禍を挟んだ5年間に憂い、思考した、ポストヒューマンとしての人間の果て。この作品に至る試行として、短編『The cleaning lady after 100 years : Spectre』がある。
https://keishichiri.com/jp/film/seioso_borei/

予約方法:
info@scool.jp にてメール予約受付。
※件名「演劇を待ちながら」本文に「名前」「電話番号」「ご希望のプログラム」「枚数」をご記入ください。こちらからの返信をもってご予約完了となります(24時間以内に返信します)。定員になり次第受付を締め切らせていただきます。
※予約キャンセルの場合は、お手数おかけしますが、必ず事前にご一報ください。
※体調の優れない方、37.5度以上の熱がある方は来場をご遠慮ください。

お問合せ:SCOOL
メール info@scool.jp

萩原雄太(かもめマシーン)

演出家、かもめマシーン主宰。1983年生まれ。愛知県文化振興事業団「第13回AAF戯曲賞」、「利賀演劇人コンクール2016」を受賞。主な作品に、原発事故後、福島の路上で行った『福島でゴドーを待ちながら』、サミュエル・ベケットの『しあわせな日々』、ひとりの観客に対し、俳優が電話回線を通じて1対1で上演を行う『電話演劇シリーズ』など。
2018年、ベルリンで開催されたTheatertreffen International Forumに参加。19-20年、22-23年、24-25年セゾンフェロー1に採択。23年、Asian Cultural Council New York Fellowshipに採択され、ニューヨークに滞在。24年、中国の演出家・王梦凡、キュレーター・张渊とともに日中当代表演交流会を開始。 ジョージタウン大学・Laboratory For Global Performance & Politics 2024-2026のGrobal Fellowに採択される。

西尾佳織(鳥公園)

劇作家、演出家、鳥公園主宰。1985年東京生まれ。幼少期をマレーシアで過ごす。東京大学にて寺山修司を、東京藝術大学大学院にて太田省吾を研究。2007年に鳥公園を結成以降、全作品の脚本・演出を務めてきたが、2020-2022年度は3人の演出家を鳥公園のアソシエイトアーティストに迎え、自身は劇作・主宰業に専念する体制に移行。2024年より演出を再開。創作と運営を活動の両輪と捉え、人の集まり方からつくり直すことを試行中。『カンロ』『ヨブ呼んでるよ』『終わりにする、一人と一人が丘』にて岸田國士戯曲賞にノミネート。ライフワークとしてからゆきさんと森崎和江のリサーチ・創作にも取り組んでいる。

宮崎玲奈(ムニ)

ムニ主宰/劇作家・演出家。1996年高知県生まれ。第11回せんがわ劇場演劇コンクールにて、『真昼森を抜ける』で演出家賞受賞。大学卒業制作の『須磨浦旅行譚』が令和元年度北海道戯曲賞最終候補。そのほかに『ことばにない』など。俳句(宮﨑莉々香)、小説など他ジャンルの創作にも意欲的に取り組む。

山本浩貴(いぬのせなか座)

1992年生。小説家/デザイナー/制作集団・出版版元「いぬのせなか座」主宰。小説や詩や上演作品の制作、書物・印刷物のデザインや企画・編集、芸術全般の批評などを通じて、生と表現のあいだの個人的な結びつき、または〈私の死後〉に向けた教育の可能性について検討・実践している。主な小説に「無断と土」(『異常論文』『ベストSF2022』)。批評に『新たな距離』(フィルムアート社)、「死の投影者による国家と死」(『ユリイカ』2022年9月号)。デザインに『クイック・ジャパン』(159-167号)、吉田恭大『光と私語』(いぬのせなか座)。企画・編集に『早稲田文学』2021年秋号(特集=ホラーのリアリティ)。

鈴木一平(いぬのせなか座)

1991年、宮城県生まれ。「いぬのせなか座」「Aa」参加。2016年に詩集『灰と家』(いぬのせなか座)を刊行、同書で第6回エルスール財団新人賞受賞、第35回現代詩花椿賞最終候補。2024年に日記・日記論集『教育装置のある生活――新しい生活(表現)様式としての「日記」』(いぬのせなか座)を刊行。主な論考に「詩と実在と感覚―言語表現におけるオブジェクトの制作過程」(『三田文學』二〇一九年冬季号)など。現在、第二詩集を準備中。

七里圭

1967年生まれ。約 10年間の助監督経験、テレビドラマ等の演出を経て、『のんきな姉さん』(2004)で監督デビュー。しかし、『マリッジリング』(2007)以外は自主製作に転じて、異色の作品を発表。声と気配で物語をつづる『眠り姫』(2007/サラウンドリマスター版 2016)が、15年間毎年アンコール上映を繰り返し、代表作となる。一方で、建築家・鈴木了二と共作した『DUBHOUSE』(2012)が国際的な評価を得る。この頃から、他ジャンルのアーティストとのコラボレーション作品も多くなり、「音から作る映画」プロジェクト(2014~2018)、「シネマの再創造」(2019~)など実験的な映画制作、映像パフォーマンスも手掛けるようになる。コロナ禍を経て、村上春樹ライブラリー・イメージ映像「The Strange Library」(2021)、『背 吉増剛造 × 空間現代』(2022)を公開。昨年は、「石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、……」(京都芸術劇場春秋座)、「Music as film」Realtime voice-over and remix(東京ゲーテ・インスティチュート)、「清掃する女:亡霊」(早稲田小劇場どらま館)と三つの上演映像作品を演出。