SCOOLシネマテーク Vol.4<br>斎藤玲児レトロスペクティブ

2024.8.9 - 8.11

SCOOLシネマテーク Vol.4
斎藤玲児レトロスペクティブ

日程

8/9(金)
17:00〜17:55 Aプロ
18:10〜19:05 Bプロ
19:20〜20:50 Cプロ
21:05〜22:20 Dプロ

8/10(土)
11:00〜11:55 Aプロ
12:10〜13:05 Bプロ
13:20〜14:50 Cプロ
15:05〜16:20 Dプロ

16:50〜17:45 Bプロ
18:00〜19:30 Cプロ
19:45〜21:00 Dプロ ※上映後トーク
※トーク出演:
斎藤玲児、三野新(写真家/舞台作家)、山本浩貴(いぬのせなか座)、佐々木敦(聞き手)

8/11(日)
12:00〜12:55 Aプロ
13:10〜14:05 Bプロ
14:20〜15:50 Cプロ
16:05〜17:20 Dプロ ※上映後ライブ(別途料金あり)
※ライブ出演:
嶺川貴子、斎藤玲児(映像)

料金

1プログラム券 1,000円
2プログラム券 1,800円(要予約)
3プログラム券 2,600円(要予約)
全プログラム券 3,000円(要予約)
※8/11(日)16:05〜のDプログラムのみ、別途1,000円の料金をお支払い頂きます。
※各回入れ替え制

8.9 17:00(A)18:10(B)
8.9 19:20(C)21:05(D)
8.10 11:00(A)12:10(B)
8.10 13:20(C)15:05(D)
8.10 16:50(B)18:00(C)
8.10 19:45(D)※-
8.11 12:00(A)13:10(B)
8.11 14:20(C)16:05(D)※
  • 開場は上映時間の15分前になります。
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SCOOLシネマテークVol.4は、斎藤玲児の個展をお届けします。
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斎藤玲児は1987年生まれ、東京都出身のアーティストで、武蔵野美術大学では油絵を学びましたが、2008年頃から非常にユニークな映像作品を発表し続けており、近年はアートの文脈に留まらない注目を集めています。
以下、彼について書いた過去の文章を引用します。
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_斎藤玲児はかつては油絵を描いていたが、大学卒業後は一貫してビデオ作品を撮り続けている。今回(2017年7月、KAYOKOYUKI)は約20分の「#18-5」と約14分の「#20」の新作二本と、特別上映会で6分弱の「#19」が上映された。
_そっけないタイトルにも現れているように、斎藤の映像作品は、彼の日常生活の折々に撮られた断片が、ほとんど粉々にされた後、表面的な脈絡無しに縫合されたものとなっている。どちらかといえば接写が多いショットの長さはまちまちだが、長くても十数秒、短いと数フレームの場合もある。一秒に満たないショットが矢継ぎ早に続く箇所もあり、視線が追いつかずに焦りかかるが、すぐにまた違うリズムになる。これは近作になるほど顕著に思えたのだが、編集の生み出すリズム、いや、編集がリズムを生み出してしまうということ自体に、斎藤はかなり慎重、もっと言えば懐疑的であるように思われる。ショットの連鎖を見ていく受動的な行為が観客にエモーショナルな意味性を喚起させないよう、細心の注意が払われている。これはサウンドにかんしても同様で、サイレントの作品もあるが、音が入っている場合でも、それぞれのショットにもともと貼り付いていた筈の音響はほとんど痕跡程度にまで縮減、もしくは消去されてしまっており、代わりにカサカサ、コソコソといった不可思議な物音が配されていたりする。
_全体として、斎藤の作風は一見、実験映画/個人映画の文脈における「私映画」の系譜に属するものであるかに思える。彼の作品は以前から知っていたが、しかし今回の新作を観て、実はそういう傾向とは一線を画すものなのではないかと思えてきたのである。ショットの連結、映像の持続、その結果として生じる時間的な体験の位相が、自ずからナラティヴの次元、フィクションへのベクトルに結びついてしまうとするなら、斎藤はそのことに極めて意識的に抗おうとしている。彼は自らの日常、生活、人生を描いて/語っているのではない。いうなればそれらは単に身近であるがゆえに手っ取り早い素材であるに過ぎない。何げなく撮られているようでいて、彼のビデオを構成している映像群は、美学的に見て高度の達成を示している。つまり、斎藤玲児の映像は、時間性を有した一種の絵画なのではないか、と私には思われてきたのである。数秒の絵画もあれば、見たという認識ギリギリの絵画もある。だがそれらは何よりもまず「絵」なのだ。しかしこれは油絵出身の斎藤が結局のところ今でもビデオカメラで絵を描いている、ということとは違う。というよりも、映像のナラティヴの発生に対する抵抗の身振りが、画面の連続性や関連性を排斥する独特なモンタージュに帰結し、その結果、各ショットの絵画性が立ち上がってきた、ということなのではないか。斎藤がやっていることは、彼の周囲の世界を描写、記録することではなく、撮ることによってそれらを脱意味化すること、脱感情化すること、そうすることで脱ナラティヴを志向すること、なのだと私には思われる。そしておそらく、この作業によって浮き彫りにされる「世界」の無意味性が、逆説的に、「世界」の無意識のようなものを表象することになるのだ。その時、斎藤玲児という「私」は、どこかに消失している。
(『アートートロジー』佐々木敦、フィルムアート社、2019年)
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ここには書きませんでしたが、玲児くん(と普段は呼んでる)は私がムサビで教えていた頃の学生で、無類の音楽好きでもあり、HEADZのライブやイベントにもしょっちゅう来てくれていました。なので実は長い付き合いなのです。
これはまったくの偶然だったのですが、HEADZから昨年(2023年)リリースされた滝沢朋恵のアルバム収録曲のMVも監督してくれました。
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今回のレトロスペクティヴでは、彼のこれまでのほぼ全作品を観ることが出来ます。また、嶺川貴子さんのライヴ・パフォーマンスや、三野新、山本浩貴(いぬのせなか座)の両氏を迎えたトーク・セッションも開催されます。
ぜひ、ご覧ください。
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佐々木敦

上映作品:
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『1』(2008年/7分)、『12』(2010年/6分)
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Aプログラム 計53分
『1』(2008年/7分)
『2』(2008年/5分)
『3』(2008年/5分)
『4』(2009年/4分)
『5』(2009年/5分)
『6』(2009年/5分)
『7』(2009年/4分)
『9』(2009年/4分)
『10』(2009年/4分)
『11』(2010年/4分)
『12』(2010年/6分)
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『18-6』(2017年/20分)、『19』(2015年/6分)
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Bプログラム 計51分
『13』(2013年/5分)
『dog & video』(2014年/4分)
『16-2』(2014年/3分)
『17-2』(2015年/13分)
『18-6』(2017年/20分)
『19』(2015年/6分)
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『20』(2017年/14分)、『24-2』(2021年/26分)
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Cプログラム 計90分

『20』(2017年/14分)
『21』(2018年/7分)
『22』(2018年/8分)
『23-3』(2020年/34分)
『24-2』(2021年/26分)
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『27』(2023年/11分)、『29-2』(2024年/10分)
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Dプログラム 計75分

『25-2』(2022年/32分)
『27』(2023年/11分)
『28-2』(2024年/10分)
『29-2』(2024年/10分)
『31』(2024年/12分)※新作

予約方法:
※「8/10(土)19:45〜21:00 Dプロ」は定員に達したため予約受付を終了しました。当日券も僅かですがご用意する予定です。なお、ご入場頂けない場合もございますので、予めご了承ください。
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info@scool.jp にてメール予約受付。
※件名「斎藤玲児レトロスペクティブ」本文に「名前」「電話番号」「券種」「鑑賞日程」「枚数」をご記入ください。こちらからの返信をもってご予約完了となります(24時間以内に返信します)。定員になり次第受付を締め切らせていただきます。
※予約キャンセルの場合は、お手数おかけしますが、 必ず事前にご一報ください。
※入場時に手指のアルコール消毒と非接触の検温をさせて頂きます。体調の優れない方、37.5度以上の熱がある方は来場をご遠慮ください。

お問合せ:SCOOL
メール info@scool.jp

斎藤玲児

映像作家。1987年東京生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。2008年より日々の生活の中で撮りためられた大量の写真と動画を素材とした映像作品を制作。東京を拠点に国内外で作品を発表。
主な展示、上映会に『松果体刺身 - 中日青年芝木家影像交流展』(合美術館 / 武漢 / 2024)、『具ささ』(青山|目黒 / 東京 / 2024)、『27 28 29』(People / 東京 / 2023)、『25-3』(外 / 京都 / 2022)、『斎藤玲児作品特集 -Experimental film culture vol.4 in Japan-』(ポレポレ坐 / 東京 / 2022)、『25』(gFAL / 東京 / 2021)、『A WAY OF DOCUMENTATION』(Á Space / ハノイ / 2021)、『Art au Centre』(リエージュ市街 / 2021)、『24』(LAVENDER OPENER CHAIR / 東京 / 2020)、『And again {I wait for collision}』(KINGS / メルボルン / 2019)、『野分、崇高、相模原』(八王子市・相模原市内 / 2018)、『01』(pe.hu / 大阪 / 2017)、『鈴木光/斎藤玲児 映像上映』(KAYOKOYUKI / 東京 / 2017)、『もうひとつの選択 Alternative Choice』(横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川 / 2015)など。

トーク出演:三野新

写真家、舞台作家。福岡県生まれ。周縁化された場所やものに残る記憶や風景を繋ぎ、「ここ」と「あそこ」の中間項を見つけ前景化させることをテーマに研究と実践を行う。
主に自身で撮影した写真・映像をもとにフィクションを作り、それを自己と他者の身体、様々なメディアを通して発表するなど、領域横断的に活動している。
2011年早稲田大学文学部演劇映像コース卒業、2017年東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。博士(芸術)。
2022年から2023年までAsian Cultural Councilの助成を受け、ニューヨークに滞在。現在は東京と神奈川を拠点に活動。
Photo by Mayumi Hosokura

トーク出演:山本浩貴(いぬのせなか座)

1992年生。制作集団・出版版元「いぬのせなか座」(https://inunosenakaza.com)主宰/小説家/デザイナー/批評家/編集者…。小説や詩や上演作品の制作、書物・印刷物のデザインや企画・編集、芸術全般の批評などを通じて、生と表現のあいだの個人的な結びつき=〈アトリエ〉を共同かつ日常的に考えるための方法や必然性を検討・実践している。主な小説に「無断と土」(『ベストSF2022』)。戯曲に「うららかとルポルタージュ」(2021年11月上演)。批評に『新たな距離』(フィルムアート社)。デザインに「クイック・ジャパン」(159-167号でアートディレクター)、吉田恭大『光と私語』(いぬのせなか座)。企画・編集に『早稲田文学』2021年秋号(特集=ホラーのリアリティ)。

ライブ出演:嶺川貴子

1990年頃より歌うことを始める。国内外で8枚のアルバムを発表、様々な表現者とのコラボレーション/音楽制作を経て、2023年より自作楽器の音楽家川口貴大とのグループ ‘跡の前’ として、即興演奏のパフォーマンスを行なうなど活動は多方面にわたり、近年は微かな気配のような音像風景を模索している。
Photo by Riku Ikeya