連続講座「面とはどんなアトリエか?」第二回<br>いぬのせなか座 meets 連続講座「映画以内、映画以後、映画辺境」

2023.4.15

連続講座「面とはどんなアトリエか?」第二回
いぬのせなか座 meets 連続講座「映画以内、映画以後、映画辺境」

出演

山本浩貴(いぬのせなか座)、鈴木一平、七里圭

タイムスケジュール

4/15(土)
15:50 開場
16:10 参考上映『背 吉増剛造×空間現代』(62分)

※音声は5.1chではなくステレオになります。
※上映後、転換作業を行いますので、一度退出をお願いします。

17:40 再開場
18:00 トーク開始(『「石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、……」試演』のダイジェスト動画の上映あり)

※トークからのご参加も可能です。

料金

2,000円

4.15 16:10※上映18:00※トーク
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_こんにちは! 鈴木一平と申します。
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_第一回で三時間半にわたって行われた山本による発表は、彼が主宰をつとめている「いぬのせなか座」の活動を絡めながら、次のようなかたちで展開されました(詳細は七里圭監督が構成・撮影したアーカイブで! こちらで購入可能です)。
_まず、絵画や写真、映画、GUIやタッチパネルの発明など、人間と物体のあいだの「(表)面」をめぐる関係の歴史的な変遷を確認した上で、東浩紀の「サイバースペース」論とそれを批判的に検討する福尾匠の議論や大岩雄典のインスタレーション論を引きながら、「面」の変容に伴う人間の思想的・芸術的認識の変化について解説しました。
_とりわけ山本が注目したのは、表現が展開される場としての面、あるいはその手前/奥に対するリテラリズム的な態度でした。表現は面の奥に垣間見られる隠喩的な象徴や物語に還元されるものではなく、かといって面=表層にとどまり、書き手の自由な思考や読み手の多様な読解に開かれている「だけ」でもない。それは面の手前にある私たちの生と関わりながら読まれ、書かれるものであると。
_面の手前における制作のリテラリズムはしだいに制作をめぐる具体的な技術の問題から制作者の生の全面的な肯定と結びつき、一方ではSNSの台頭などに伴うパーソナリティ消費と結託し、他方では個別具体的な社会的マイノリティの生が主題化されるなど、制作をめぐる時代的な趨勢は変化していきました。
_それは、面の手前側の生そのものへの過度な注目であり、(良くも悪くも)芸術そのものの価値低下が表現されているのかもしれません。しかし、制作とリテラリズムの理論的な思考について、もうすこし踏みとどまってみることは可能でしょう。いわば、「作品」や「手前側の生=私」へと制作行為が統合されるさらに「手前」で、それらの相互発達を促す技術としての思考を、それが展開される現場(=アトリエ)である「面」において引き受けること。……
_ 
_さて、第二回ではあらためて「面」をテーマに、七里圭監督『背 吉増剛造×空間現代』や日本近現代詩の諸作品について考えていきたいと思います。日本における(現代の私たちが口にするような意味での)詩は、明治期に海外詩が翻訳というかたちで日本語のなかに移植されることで生まれたものでした。したがって、それは翻訳が掲載される場としての――原文を日本語に翻訳するための試行錯誤が行われるアトリエとしての――紙面の存在が不可欠だったのです。
_そして、詩は言語表現のなかでもとりわけ面に対するアプローチが(本来であれば)不可避的に問われるタイプの表現形式です。それは、日本現代詩を代表する詩人の一人である吉増剛造が『背』のなかで行っていたガラス面の洗浄や絵の具による描写・塗り重ね、金槌による殴打といったパフォーマンスと遠からず呼応するように思います。詩はどのようにみずからの表現と制作者の生を詩のなかで織り上げ、その可能性を模索してきたのか。今さら詩の視覚性にこだわることにどんな意味があるのか。
_合わせて、当日は七里圭監督と吉増剛造による最新上演として2023年2月に行われた春秋座公演『「石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、……」試演』のダイジェスト動画初公開のほか、第一回の補遺として山本がChatGPTと言語表現について取り上げる予定です。よろしくお願いします。

予約方法:
info@scool.jp にてメール予約受付。
※件名「面とはどんなアトリエか?」本文に「名前」「電話番号」「枚数」(※トークからご参加希望の場合はその旨も)をご記入ください。複数名でご予約の場合、全ての方のお名前と電話番号をご記入ください。こちらからの返信をもってご予約完了となります(24時間以内に返信します)。定員になり次第受付を締め切らせていただきます。
※予約キャンセルの場合は、お手数おかけしますが、必ず事前にご一報ください。
ご来場の際はマスクの着用をお願いします。また入場時に手指のアルコール消毒と非接触の検温をさせて頂きます。体調の優れない方、37.5度以上の熱がある方は来場をご遠慮ください。

連続講座「面とはどんなアトリエか?」第一回 アーカイブチケット:
価格 1,500円
https://scool.stores.jp/items/641c0198427a88002c709f9c
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連続講座「面とはどんなアトリエか?」第一回
出演:山本浩貴(いぬのせなか座)、鈴木一平(※オンライン参加)、七里圭
日時:2023年1月27日(金)19:20 トーク開始
会場:SCOOL
イベント詳細:https://scool.jp/event/20230127/
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<動画アーカイブ>
出演:山本浩貴(いぬのせなか座)、鈴木一平、七里圭
構成・撮影:七里圭
制作・録音:土屋光
制作と撮影の助手:松橋和也
機材協力:高橋哲也
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<発表スライド>
作成・デザイン:山本浩貴(いぬのせなか座)
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※チケットに記載のURL先から動画アーカイブをご視聴ください。
※トーク(3時間程度)のアーカイブ映像になります。
※各URLを無許可で第三者に共有することを固くお断りいたします。
※各データを無許可でネットワーク等を通じて送信できる状態にすることを禁じます。

作品情報:
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『背』
2021年/日本/62分/DCP/ドキュメンタリー
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出演:吉増剛造、空間現代
監督・撮影・編集:七里圭
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アソシエイト・プロデューサー:西原多朱 整音:松野泉 撮影・グレーディング:高橋哲也
協力:日景明夫、末永賢、新柵未成、棚沢努、唐津正樹、ホテルニューさか井、Reborn-Art Festival、石巻実行委員会、有限会社 ガリレオクラブ、株式会社 アウラ
企画・製作・配給:チャーム・ポイント
企画協力:合同会社空間現代
制作協力:合同会社インディペンデントフィルム
共同配給:シネマトリックス
文化庁「 ARTS for the future! 」補助対象事業
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『背』公式サイト:
http://keishichiri.com/se-back/
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「石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、、、」試演
2023年2月25日@京都芸術劇場・春秋座
写真:井上嘉和
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音楽・アクースモニウム:檜垣智也
詩・パフォーマンス:吉増剛造
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映像技術:高橋哲也 照明:長尾祐介
撮影助手:藤田恵実 演出助手:鳥井雄人、田中聡
音響技術:牛山泰良 録音演奏助演:法貴彩子(ピアノ)、田畑洸貴(打楽器)
舞台監督:大田和司
制作:西原多朱(tapetum works)
Special thanks:椎名亮輔、関浩司、佛木雅彦、山倉一樹、桑野仁、リボーンアートフェスティバル、ヨコシネディーアイエー、ながらの座・座
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演出・映像:七里圭
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主催:京都芸術大学<舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点>
共同利用・共同研究拠点2020年度劇場実験型プロジェクト公募研究I(延期分)
助成:公益財団法人野村財団
協力:hirvi、tapetum works、charm point
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公式HP:
https://k-pac.org/openlab/5142/

お問合せ:SCOOL
メール info@scool.jp

七里圭

映画監督(公式プロフィールはこちら→ http://keishichiri.com/jp/profile/ )。最新作は、1/17(火)に早稲田・小野講堂で披露上映した『ピアニストを待ちながら』(主演:井之脇海)。新作上演も京都・春秋座で2/25(土)に、吉増剛造氏の詩をモチーフにした作品「石巻ハ、ハジメテノ、紙ノ声、、、」(記録写真→ http://keishichiri.com/jp/performances/ishinomaki-sien/ )を電子音楽・作曲家の檜垣智也氏と行った。今年は夏以降に、東京でも映像上演パフォーマンスを開催予定。連続講座も頑張ります!(過去の講座アーカイブも進めています。→ https://note.com/shichirikei/

山本浩貴

1992年生。言語表現・レイアウト。小説や詩やパフォーマンス作品の制作、書物・印刷物のデザインや企画・編集、芸術全般の批評などを通じて、〈私が私であること〉の表現あるいは〈私の死後〉に向けた教育の可能性について共同かつ日常的に考えるための方法や必然性を検討・実践している。主な小説に「無断と土」(鈴木一平との共著、『異常論文』ならびに『ベストSF2022』掲載)、主な批評に「死の投影者による国家と死」(『ユリイカ』2022年9月号 特集=Jホラーの現在)、主なデザインに「クイック・ジャパン」(159号よりアートディレクター)、主な企画・編集に『早稲田文学』2021年秋号(特集=ホラーのリアリティ)。2015年より主宰する「いぬのせなか座」は、小説や詩の実作者からなる制作集団・出版版元として、各種媒体への寄稿・インタビュー掲載のほか、パフォーマンスやワークショップの実施、企画・編集・デザイン・流通を一貫して行なう出版事業の運営など多方面で活動したのち、2021年末をもって第一期終了、現在は山本のみを固定メンバーとした流動的なかたちをとっている。

鈴木一平

1991年、宮城県生まれ。「いぬのせなか座」「Aa」参加。2016年に詩集『灰と家』(いぬのせなか座)を刊行、同書で第6回エルスール財団新人賞受賞、第35回現代詩花椿賞最終候補。