いぬのせなか座<br>連続講座=言語表現を酷使する(ための)レイアウト<br>第2回「主観性の蠢きとその宿――呪いの多重的配置を起動させる抽象的な装置としての音/身体/写生」

2018.10.13

いぬのせなか座
連続講座=言語表現を酷使する(ための)レイアウト
第2回「主観性の蠢きとその宿――呪いの多重的配置を起動させる抽象的な装置としての音/身体/写生」

講師

いぬのせなか座

日程

10月13日(土)18:00スタート

料金

2,000円

10.13 SAT18:00
  • オープンはスタートの30分前になります。

Places of layered approximations received: yellow liquid

The surfacing of out and in

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Angular spin, the depth-maker of a surface

Distance of no. Distance of familiarity.

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Volumes, degrees, position, spasms, tunneling

The forms within but between

――Arakawa+Madeline Gins, “CALL OF CONTINUITY TO SHUZO TAKIGUCHI”

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6月におこなった本講座第1回「言葉の踊り場」は、メンバーであり詩人の鈴木一平が中心となって、『新体詩抄』(1882年)以降の日本の詩の変遷をたどった。萩原朔太郎や北川冬彦、春山行夫、北園克衛、北原白秋、萩原恭次郎、富岡多恵子、安東次男、田村隆一らの作品や詩論が分析対象に選ばれ、登壇者と出席者が意見を交わすうち、とりわけ「詩における改行とは何か」が中心的な議題となった。その後の理論的更新を(強引に?)食い込ませつつ、要点をあげれば、以下のようになる。
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①紙面に向かい合う知覚者は、並べられた文字から、それを並べた者の「私」(Personality)や、その者の周辺にあって思考や表現を規定した「環境(Environment)」を、さかのぼって仮構しないではいられない。この動きの傾向・質を、「主観性(Subjectivity)」と呼ぶ。
②主観性は、語や文ごとに生じては、ほかの場所に並べられた語や文におけるそれとのあいだで、差異を生む。結果、紙面には、いくつもの相容れない主観性がレイアウトされる。言語表現は、こうしたレイアウトをめぐる技術の集積として捉えられたとき、十全に酷使されうる。

③詩における改行は、言葉を「行」として単位化する。改行された言葉は、単に「書かれたもの」から紙面上に「配置されたもの」へ変質し、時には線的な読みの流れにあらがう断絶性や平面性を身にまとう。複数の言葉の配置は、内側に抽象的な奥行きを抱え込んだ空間として立ち上げられ、言葉はただの言葉にとどまらない何か=詩へと姿を変える。
④しかし同時に、改行は「なぜそこで改行が行われたか」を客観的な規則によって担保できない。その結果、言葉を操作する制作者と言葉をめぐる主観性が、客観的な規則とは別の判断として詩に持ち込まれる。

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以上を踏まえつつ、第2回では、言語表現におけるレイアウトが依拠するものの輪郭へと、より深く多様に踏み込むために、韻律、定型、詞・辞、朗読、音韻、オノマトペ、喩、写生といった論点を扱う。
目で見る文字の並びはいかにして耳で聴く(とされている)音を立ち上げるのか。音やそれが生むリズム/メーロス(菅谷規矩雄)は文字の並びをどのようにほつれさせ、そのほつれは主観性にどのようなかたちや動きを強いるのか。写生における対象や、音に喩を感じてしまう身体は、どのように紙面から浮上するのか。
全体として目指されるのは、主観性のレイアウトに強烈な拘束と多重性を与える諸々の物性(Objectivity)と、それが由来するところの、おそらくは極めて抽象的な物(Object)を明らかにすることだ。
いくつもの「私」と環境が行き交う場としての紙面、培われる異様な時空間の遠近、そのところどころで破壊的に顔をのぞかせる物(Object)。視覚にも聴覚にも還元しきれない、物とあまりにも似たすがたの私(Subject)……その先に、文章の制作技術を身体に根づかせてしまった者らに課せられた、修辞と生を直結させる「レイアウトの思考」が見えてくる。

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※以上は、9月上旬時点での見通し。また、講座第一回の開催記録は、近日中に有料で公開予定。準備が整い次第、お知らせします。

予約方法:
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メール info@scool.jp

いぬのせなか座

山本浩貴(1992年生)+h(1993年生)、鈴木一平(1991年生)、なまけ(1991年生)、笠井康平(1988年生)からなる制作・批評グループ。詩や小説、散文作品の制作はもちろん、書籍の編集・デザインやパフォーマンスの上演、『ユリイカ』『文藝』『現代詩手帖』など各種媒体への批評・論考の寄稿など、さまざまな角度から言語表現の可能性や他表現ジャンルとの関係、共同制作の手法や意義などを考え、提示している。